愚か者よ

令和。れいわ…。

声に出しても流麗な響きです。

桜の季節の、晴れの日の発表となり、誠におめでたいことと存じました。

さて、投稿のタイミングを逸していた平成の思い出を一つ。

1993年(平成5年)放送のNHKの大河ドラマ『琉球の風』の顔合わせでのこと。

演出の吉村芳之さんの一言に、どよめきが起こりました。

「前科者揃いだなあ」

https://ja.wikipedia.org/wiki/琉球の風_(NHK大河ドラマ)

これだけの俳優が集まるのは奇跡でした。NHKの英断です。まだ、大らかな時代でもありましたし、何より、吉村さんの人徳が大きかったと思います。

アウトロー、破天荒との見出しで、訃報を伝えられた萩原健一さんは、東山紀之さん演じる主人公 啓泰(架空の人物)の父親で、島津義久の御典医 楊邦義(こちらも架空の人物です)という役。

「吉村さんの作品だから出るよ」

と、おっしゃったそう。

萩原さんとご一緒したのは、1シーンだけだったので、メイクや衣装替えの際に、お隣になったりはありましたが、ご挨拶差し上げる程度でした。

それでも、打ち上げの席では、サインをいただきました。私の俳優時代、同業者にサインをいただいたのは、後にも先にも萩原さんだけ。

その打ち上げの席で

「ジュリー(尚寧王役の沢田研二さん)がいたら、俺、歌わないよ。ジュリーが1番、ショーケン2番だからさ」

と、言いながら、萩原さんは『酒と泪と男と女』を歌ってくださいました。

「忘れて、しまいたい~セリフやあ~~、どうしようもない役者に~かこまれた時に、監督わぁ、酒を飲むぅのでしょ」

と、替え歌にして。

盛り上がったことは言うまでもありません。

「ショーケンはさあ、時々、電話かけてきて、『次の歌は、ミック・ジャガーっぽく歌ってみるよ。こんな感じで』って、電話口で歌うんだよ。それで、『どう?』って。感想聞いてくるんだ。夜中に」

演出家の蜷川幸雄さんから、そんなエピソードを聞いていたこともあり、やはり、萩原さんは特別な存在でした。

役者馬鹿は絶滅の一途です。俳優は、コンピュータグラフィックで代替できる時代になりました。

時流です。


Site Hiroyuki Tateyama

演出家 竪山博之(たてやまひろゆき)のサイトです。 舞台や、映像、ラジオ番組、コンサートを制作したり、 芸術について話したり、脚本を書いたり、俳優を育てたりしています。 Hiroyuki Tateyama, stage theater producer, organaisez le producteur de theatre.

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